結納は結婚が決まった両家が婚約を正式なものとする大切な儀式ですが、馴染みが薄い分、具体的な手順やマナーに不安を感じる方も多いでしょう。
伝統的な正式結納から現代主流の略式結納まで、結納には地域ごとのしきたりや多様なスタイルが存在します。
そこで本記事では、結納の基本的な意味や歴史、関東・関西での違い、当日の具体的な流れや費用相場を詳しく解説します。
準備に必要なアイテムや服装選び、よくある質問も網羅しており、両家の希望に合わせた最適なプランを立てるのに役立ちます。
両家の絆を深める佳き日を迷いなく迎えるために、ぜひ結納の基礎知識と最新事情をチェックしておきましょう。
出典:リクルート ブライダル総研『ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)』『ゼクシィ結婚トレンド調査2016』
結納とは
結納とは、婚約を正式なものとするための儀式のことです。
結納の儀式で結納品のやりとりを行うことで、「結婚の約束」を両家の間で確認します。
おふたりだけの口約束である婚約を公のものにする意味があり、結納を通して両家が新たに結びつくことを祝う役割も果たします。
いわば日本独自の伝統的な婚約式ともいえるでしょう。
1|結納の意味や歴史
婚約を公にし両家の絆を深める約1600年前から続く伝統的な儀式
2|現在の結納スタイル
仲人を立てる正式な形から両家のみで行う略式まで多様なスタイルがある
3|両家顔合わせの食事会との違い
結納は品物を納める儀式で顔合わせは親睦を深める食事会という違いがある
結納の意味や歴史
結納には婚約関係をより確かなものにし、両家の絆を深めるという大切な意味があります。
起源をたどると、今から約1600年前、仁徳天皇の皇太子が妃を迎える際に行った儀式(納采)が結納の始まりとされています。
儀式では、男性の親が女性の親へ贈り物を届け挨拶を交わしました。
それが皇室に今も伝わる「納采の儀」です。
その後、結納の風習は平安時代に貴族の間で広まり、室町時代には武家社会に伝わり、中国の婚礼制度の影響も受けながら形が整えられました。
江戸時代には裕福な商人階級にも普及し、庶民の間にも婚約の慣習として定着していきました。
現在の結納スタイル
現在の結納のスタイルは、大きく3つの形式に分類できます。
仲人が両家を往復して結納品を届ける伝統的な正式結納、仲人と両家が一堂に会して行う略式結納(仲人あり)、そして両家だけで行う略式結納(仲人なし)です。
正式結納は最も格式高い方法ですが、仲人にかかる手間も大きく、時間も要するため現在ではほとんど行われていません。
近年は仲人を立てず両家のみで行う略式結納が主流となっており、両家顔合わせ食事会と結納を兼ねるケースも増えています。
関東の正式結納
関東の正式結納は仲人を立てて行う格式高い結納です。
男性側・女性側の双方が結納品を用意し、仲人を介して品物と結納金を交換し合います。
双方で贈り合う形式であることから、関東式では「結納を交わす」と表現されます。
関西の正式結納
関西式の結納では、結納品を用意するのは男性側だけである点が特徴です。
新郎側が結納品一式を新婦側に贈り、新婦側はそれを受け取って受書を渡すだけで、関東のように新婦側から結納品の返礼を同時に贈ることは基本的にしません。
新婦側は結納金の一部を後日お返ししたり、記念品を贈ったりする習慣も地域によってあります。
しかし、正式な場で半額を包んで返すといった、関東の「結納返し」の風習は関西では重視されない傾向があります。
そのため、両家が同席する席上でのやり取りは関東式に比べてシンプルです。
略式結納
略式結納は、仲人を立てず両家のみ、あるいは仲人同席のもと両家が一堂に会して行う簡略化された結納です。
実質的な流れは関東式・関西式の正式結納とほぼ同じで、新郎側からの結納品受け渡しと新婦側からの受書・結納返しという一連の手順があります。
ただし略式で仲人なしの場合、進行役は仲人ではなく主に新郎側が務めます。
自宅ではなく料亭やホテルの個室などで執り行うことも多く、当日の進行も短時間でシンプルにまとめられます。
正式結納に比べ準備の手間も少ないため、現代ではこの略式結納(特に仲人なし)が一般的になっています。
両家顔合わせの食事会との違い
結納と両家顔合わせの最大の違いは、「結納」が厳格な作法を伴う伝統的な婚約儀式であるのに対し、「顔合わせの食事会」は形式にとらわれないカジュアルな食事会だという点です。
- 結納:新郎新婦双方の家から婚約のしるしとして品物や結納金が贈られ、両家で婚約成立を公式に確認
- 顔合わせ食事会:正式な贈り物の交換は行わず、両家の紹介と親睦が主な目的
服装についても、結納では両家とも正礼装・準礼装など格の高い服装で揃えます。
しかし、顔合わせ食事会では両家で相談の上で、もう少し控えめな服装(スーツやワンピースなど)で臨む場合が多いです。
場所は料亭とホテルが多く、2024年時点の調査では60%以上が両者のどちらかを会場に選んでいます。
近年では、顔合わせのみ実施しているカップルも増えており、結納を省略するケースが増えています。
結納当日までの準備
結納式を滞りなく行えるよう、当日までにしっかり準備を整えておきましょう。
特に以下のポイントについて、早めに確認・手配を進めます。
日程・場所・スタイル・服装を決める
結納の日取りと場所、儀式の形式(正式に行うか略式にするか)や両家の服装について決めます。
結納は結婚式の数か月前に行うのが一般的で、お日柄を重視するなら大安など吉日の午前中に行うと良いでしょう。
最近では日柄より両家の都合を優先して日程を決めることも増えています。
場所は両家の中間地点か新婦側の地元近くで行うことが多く、料亭やホテルなどの結納プランを利用するケースもあります。
正式な結納式にするか略式結納にするか、あるいは結納を行わず顔合わせ食事会にとどめるかは、事前に両家の希望をすり合わせておきましょう。
服装は結納の場合は両家ともフォーマルな礼装で格式を揃えます。
顔合わせのみの場合はスーツ・ワンピースなど平服に近い装いでも構いませんが、極端に格が違わないよう両家で調整しましょう。
結納品と結納金を準備する
結納式で取り交わす結納品一式と結納金を忘れず準備しましょう。
結納品とは縁起の良い品をセットにしたもので、地域により品目や数が異なります。
- 末広(扇子)
- 寿留女(するめ)
- 友白髪(ともしらが)
- 子生婦(こんぶ)
- 勝男武士(かつおぶし)など
関東式では9品を一台にまとめて飾り、関西式では品ごとに台に載せて飾るなど、地域によってしきたりが異なります。
地域ごとの習慣や結納返しの有無も含め、両家の親と相談しながら品物や金額を決めるとよいでしょう。
結納金を受け取った新婦側は、その半額程度を目安に現金や記念品でお返しする(結納返し)習慣もあります。
結納金の金額や結納返しを行うかどうかも含め、事前に両家で十分話し合っておきましょう。
結納の当日の流れ
結納の当日の流れをスタイルごとに解説します。
それぞれ一般的な進行を確認しておきましょう。
1|関東の正式結納の場合
仲人が両家を行き来して結納品と受書を交換し合う伝統的なスタイル
2|関西の正式結納の場合
男性側から女性側へ納めるのが基本で女性側からの結納品は用意しない
3|略式結納の場合
一堂に会して行い結納品の交換や記念品披露を短時間で済ませる
関東の正式結納の場合
関東式の正式結納では、前述のとおり新郎側・新婦側双方が結納品を用意します。
そのため、当日の儀式の中にお互いの贈り物交換の場面があります。
| 流れ | 詳細 |
|---|---|
| 1.男性宅での結納品受け渡し | 仲人が男性宅を訪問し、新郎側から結納品一式を受け取ります。 男性側代表(父親など)が結納品と結納金を差し出し、仲人が内容を改めたうえで確かに預かった旨を伝えます。 その後、仲人は結納品を持って女性宅へ向かいます。 |
| 2.女性宅での結納品受け渡し | 仲人が女性宅に到着し、結納品を床の間に飾って一同が着席します。 新婦側代表(父親など)の挨拶の後、仲人から新郎側の結納品が手渡され、新婦側代表がお礼の言葉とともに受け取ります。 |
| 3.受書と新婦側の結納品 | 新婦側は結納品を受領した証である受書を仲人に渡します。 関東式では新婦側も結納品一式を用意しているため、受書と合わせて新郎側への結納品も仲人に託します。 仲人は預かった受書と新婦側の結納品を持って再度新郎宅へ向かいます。 |
| 4.男性宅で受書を受け渡し | 仲人が新婦側から預かった受書と結納品を持参し、男性宅で新郎側に手渡します。 |
| 5.女性宅への完了報告 | 仲人が女性宅へ新郎側から預かった受書を届けます。この報告をもって、両家の結納の儀がすべて終了となります。 |
仲人がいる場合、新郎新婦や両親は直接やり取りしないので挨拶程度に留まり、仲人夫婦が結納品を持参・紹介し、受書や結納返しも仲人が預かって運ぶ、といった流れになります。
いずれの形でも、結納式は厳粛かつ晴れやかなムードで進められます。
関西の正式結納の場合
関西式の正式結納の場合、当日の流れは関東式と大枠は似ていますが、新婦側からの結納品の贈呈がありません。
そのため手順としては次のようになります。
| 流れ | 詳細 |
|---|---|
| 1.男性宅での結納品受け渡し | 基本的な進行は関東式と同様で、仲人が男性宅で新郎側の結納品一式を受け取って新婦宅へ赴きます。 男性側代表が結納品を仲人に託し、仲人はそれを携えて女性宅へ向かいます。 |
| 2.女性宅での結納品納め | 仲人が女性宅で結納品を床の間に飾り、一同が着席して挨拶します。 続いて仲人から新郎側の結納品が手渡され、新婦側代表がお礼を述べて受け取ります。 関西式では新婦側からの結納品は用意しないため、これで結納品の受け渡しは完了です。 |
| 3.受書の授受 | 新婦側は結納品を受け取った証として受書を仲人に渡します。 仲人は受書を持って男性宅に戻り、新郎側へ「結納品を確かに納めました」という受書を手渡します。 これにて結納の一連の儀式が終了となります。 |
地域や家の流儀によっては、関西でも簡単なお返しを用意する場合もあります。
結納の当日に「あれ、うちは返礼しなくてよかったのかな?」などと戸惑わないよう、事前に両家でどう進めるか共有しておきましょう。
略式結納の場合
略式結納の場合、当日の流れ自体は関東式や関西式の正式結納と同様です。
場所は自宅、もしくは結納プランのあるホテル等の会場を手配します。
仲人がいないので、進行役となる男性側の父親や男性本人が段取りを把握して進めていきます。
| 流れ | 詳細 |
|---|---|
| 1.結納品の飾り付け・着席 | 両家が1つの会場に集まり、結納品を飾って全員が着席します。 床の間やテーブルに結納品セットを整えて飾り、両家が向き合って着席したら準備完了です。 |
| 2.開式の挨拶 | 仲人がいる場合は仲人が、いない場合は新郎側代表が司会進行役となり、開式の挨拶を行います。 簡単な自己紹介と本日の流れを述べて、結納式を開始します。 |
| 3.結納品の授受(新郎側→新婦側) | 新郎側代表が結納品と結納金を新婦側へ差し出し、婚約の口上を述べます。 「本日、○○様(新婦)とのご縁がととのいましたので結納の品を納めさせていただきます」などと述べ、新婦側代表が受け取ります。新婦側からは受書を新郎側へ手渡し、確かに品物と金銭を受領したことを伝えます。 |
| 4.結納品の授受(新婦側→新郎側) | 両家が関東式で結納品を用意している場合は、新婦側も結納品(主に記念品)を新郎側へ贈ります。新婦側代表が結納返礼品を添えて差し出し、新郎側代表が受け取って謝辞を述べ、受書を新婦側に渡します。※関西式など新婦側からの結納品を用意しない場合、この手順は省略されます。 |
| 5.婚約記念品の披露 | 結納品の交換後、婚約指輪など婚約記念の品を披露し合います。指輪をお披露目して、両家で写真撮影をしたり歓談したりします。 |
| 6.閉式の挨拶 | 司会役が締めの挨拶を行い、一連の儀式を結びます。「これをもちまして結納を納めさせていただきます」などの言葉で式を締め、両家代表がお互いにお礼を述べます。結納を終えたら、ホテル等の場合はそのまま同じ会場で祝宴・食事会へ、自宅の場合はホテルや料亭などに移動するケースが多くみられます。 |
略式結納の進行役は新郎側が担うため、リードする側として事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
ホテルなどで結納を行う場合は、事前にスタッフに相談すればアドバイスをもらうことも可能なので、リラックスして臨めるよう、当日の流れを頭に入れておきましょう。
結納の費用と内訳
結納にまつわる費用は、大きく「結納金・結納品など贈答にかかるお金」と「式当日の諸費用」に分けて考えられます。
結納の費用と内訳を以下にまとめました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 結納金 | 新郎側から新婦側へ贈る婚約支度金です。 100~150万円で用意する方が最も多いようです。2024年の調査では平均95.2万円でした。 |
| 結納品 | 昆布、するめ、友白髪、末広など縁起物の品々をセットにしたものです。 品物数によって費用相場が異なります。 |
| 会場・食事の費用 | 結納式を料亭やホテルで行う場合の会場料や食事代です。 出席者の食事を含めた平均金額はエリアごとにばらつきがありますが、首都圏では約84.8万円です。 |
| 結納返し | 結納を受け取った新婦側がお礼として贈る金品の費用です。 現金を贈る場合、2024年は約50万円が平均金額となるようです。 |
結納に関するよくある質問
結納に関するよくある質問を5つ紹介します。
細かい疑問が残っている方は、以下をチェックしてみてください。
1|結納は必ず行わなければいけませんか?
必須ではなく約8割が顔合わせのみだが親の意向を確認して決める
2|結納って何をするのか簡単に教えてくれませんか?
結納品と結納金を納め両家で婚約成立を確認し祝いの膳を囲む
3|結納金は誰が用意するものですか?
婚約支度金として新郎側が用意し新婦側は必要に応じて返す
4|結納当日の服装はどうすれば良いですか?
両家で格を揃えることが重要で礼装や略礼装を事前に相談して決める
5|結納金なしだと印象が悪いですか?
両家が納得して進められるように事前の話し合いが必須
結納は必ず行わなければいけませんか?
結納はあくまで儀式であり、両家が必要ないと考えれば省略しても問題ありません。
全国平均で約8割のカップルは結納を行わず、顔合わせの食事会のみのケースも増えています。
ただ双方のご両親、もしくはどちらかのご両親が結納を望む場合もあるので、注意が必要です。
どちらかが伝統を重んじて結納を希望するなら、その意向を尊重する方が以降の関係も円滑でしょう。
両家でよく話し合い、結納を行うかどうか決めると安心です。
結納って何をするのか簡単に教えてくれませんか?
結納式では、新郎側が用意した結納品(縁起物の品々)と結納金を新婦側へ納め、両家で婚約が正式に整ったことを確認します。
男性側代表が婚約の口上を述べながら結納品を手渡し、女性側は受書を渡して確かに受領したことを伝えます。
関東式の場合はさらに新婦側からの結納品も取り交わし、指輪など婚約記念品の披露も行います。
その後、両家で祝いの食事会を開き、和やかに親睦を深めます。
結納金は誰が用意するものですか?
結納金は一般的に新郎側(男性側)が用意します。
結納金とは婚約準備金のことで、男性側から女性側へ結婚の支度金として贈られるものです。
新婦側が結納金を準備する必要は基本的にありません。
ただし受け取った結納金の一部を新婦側がお返しする(結納返し)習慣があり、その有無や金額については事前に両家で取り決めておきましょう。
結納当日の服装はどうすれば良いですか?
結納式当日は、両家とも格調高い服装で臨むのがマナーです。
男性はブラックスーツやモーニングコート、女性はワンピースや訪問着・振袖などの礼装が一般的でしょう。
両家で格式を揃えることが大切なので、服装の格や色味は事前に両家で相談しておくと安心です。
料亭やホテルで行う場合はドレスコードの指定があることもありますので、それに見合った服装を選ぶようにしてください。
結納金なしだと印象が悪いですか?
一概には言えませんが、結納金を全く用意しないことで相手側が不快に感じる可能性はあります。
地域ごとの習慣やご家族それぞれの考え方も違うため、一方的に結納金なしで話を進めると、関係がこじれる恐れもあります。
最近では結納金なしにするケースも増えていますが、相手側の価値観も踏まえて事前によく話し合い、両家が納得した上で判断することが大切です。
まとめ
結納は婚約にまつわる伝統的な儀式ですが、現代では各家族の考え方に合わせて省略や簡略化も行われています。
大切なのは形式にとらわれすぎず、両家が気持ちよく婚約の節目を迎えられるようにすることです。
正式結納でも略式結納でも、あるいは顔合わせ食事会のみで済ませる場合でも、両家が納得する形で絆を深め、晴れの日に臨めるよう準備を進めましょう。
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